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建設業におけるサステナビリティ戦略:脱炭素・環境配慮の取り組みとは?

2025年7月7日
建設会社M&A

はじめに

 近年、建設業界でも「サステナビリティ(持続可能性)」が重要なキーワードになっています。気候変動対策やカーボンニュートラルの推進、廃棄物の削減といった世界的な潮流を受け、日本国内でも建設業における環境負荷低減への取り組みが急務となっています。本記事では、建設業におけるサステナビリティ戦略の必要性とともに、具体的な脱炭素・環境配慮の実践方法について解説します。

なぜ今、建設業にサステナビリティが求められるのか?

 建設業は、原材料の調達から施工、運用、解体まで、ライフサイクル全体で環境に大きな影響を与える産業です。たとえば、国内のCO₂排出量の約4割は建物やインフラに関連する分野から発生しているといわれています。

加えて、建築資材の製造や輸送、建設現場でのエネルギー使用も、温室効果ガスの大きな発生源です。そのため、建設プロセス全体での環境配慮が求められており、政府も「2050年カーボンニュートラル」に向けて政策を強化しています。

サステナブルな建設の3つの柱

サステナビリティを意識した建設を実現するためには、次の3つの観点が重要です。

1. 環境配慮型の建設手法

  • プレハブ工法・ユニット工法
     → 現場作業の効率化により廃材やエネルギー消費を削減。

  • ゼロエネルギービル(ZEB)・住宅(ZEH)の設計
     → 建物の断熱性能を高め、太陽光発電などの再生可能エネルギーを取り入れる。

  • BIM(Building Information Modeling)の活用
     → 建設前にエネルギー消費や資材量をシミュレーションする事で、ムダのない設計・施工が可能。

2. 環境負荷の少ない資材選定

  • 再生素材の活用
     → 再生コンクリートや再生鋼材、古材を活用する事で、天然資源の消費を抑制。

  • 低炭素型建材の導入
     → 例えば、低炭素コンクリート(CO₂排出を抑えた製造方法)や、バイオマス由来の建材等。

  • 地産地消の資材
     → 輸送距離を短くすることで、CO₂排出量を低減。

3. ライフサイクル全体でのエネルギー削減(LCCO₂の視点)

建設業においては、建物の「使用段階」でのエネルギー消費も大きな課題です。

  • 高断熱・高気密の設計

  • 自然光・自然通風の活用


    IoTによるエネルギー管理(スマートビルディング)

こうした工夫により、運用段階でもエネルギー消費を抑え、環境負荷を継続的に削減することが可能になります。

企業にとってのメリットとは?

サステナビリティに取り組むことは、単なる「コスト」ではなく、企業の競争力強化にも繋がります。

  • 公共工事・民間案件での加点評価(入札・選定基準)

  • ESG(環境・社会・ガバナンス)投資への対応

  • 企業ブランディングの向上(サステナブル企業としての評価)

  • 社員のモチベーションや定着率の向上

特に今後、若手人材や投資家、発注者は「どれだけ社会的責任を果たしているか」という視点で企業を選ぶようになっていきます。

中小建設業でもできる環境配慮の第一歩

「大企業でなければ環境対策は難しい」と考える必要はありません。中小建設業でも、以下のような取り組みから始めることができます。

  • ・建設現場でのごみ分別・リサイクルの徹底

  • ・燃費の良い建機・車両への切り替え

  • ・社内の照明・空調のLED化や節電

  • ・グリーン調達(環境に配慮した資材や製品の購入)の導入

  • ・環境マネジメント研修の実施(社員教育)



これらは初期費用が抑えられる物も多く、取引先や顧客への好印象にも繋がります。

まとめ:持続可能な未来の為に、建設業にできる事

 脱炭素社会の実現は、すべての産業に求められる目標です。建設業界は、その規模と影響力からも大きな責任とチャンスを持っています。今後は、環境負荷を抑えた建設を「特別な取り組み」ではなく、「当たり前の基準」として取り入れることが、企業の信頼性や存続に直結します。まずは、自社にできる小さな取り組みから。サステナブルな建設業を目指し、次世代に誇れるインフラと社会を築いていきましょう。

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