はじめに
中小建設業者にとって、人材確保や設備投資、DX対応は重要な経営課題です。しかし、資金面での制約から思うように進まないことも多いのが現実。そんな時に頼りになるのが、国や自治体が提供する「助成金・補助金制度」です。本記事では、建設業に特化して活用しやすい助成金・補助金を紹介し、申請の流れや成功事例、注意点までを分かりやすく解説します。
■ ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金(通称:ものづくり補助金)
対象:中小建設業を含む製造・サービス業全般
概要: 新しい建設技術の導入や、ICT設備投資(ドローン、測量ソフトなど)に対する補助。最大1,250万円まで支援されるケースも。
■ 働き方改革推進支援助成金(厚生労働省)
対象:労働時間の短縮や生産性向上を目指す中小企業
概要: 現場の残業時間の是正や、有給休暇取得促進の取り組みに対する助成。勤務管理システムの導入や人材育成の費用も対象。
■ IT導入補助金
対象:建設業を含む中小企業全般
概要: 見積・原価・工程管理などの建設業向けクラウドソフトの導入費用に対し、最大450万円が補助される場合も。
■ 地方自治体の独自補助金(例:省エネ建材導入補助、地域インフラ整備支援など)
都道府県や市町村によって、建設業に特化した補助金が設定されているケースがあります。地元の商工会議所や自治体HPをチェックするのがおすすめです。
申請手続きは制度によって異なりますが、おおまかな流れは以下の通りです。
STEP1:対象制度を調べる
自社の業態・課題に合った制度を探します。中小企業庁、厚労省、地方自治体のHPが情報源として有用です。
STEP2:事業計画書の作成
なぜその取組が必要なのか、どんな効果を期待しているのかを具体的に記載。専門家の支援(中小企業診断士、社労士など)を受けるのも効果的です。
STEP3:電子申請 or 郵送で提出
多くの制度が電子申請に対応。提出書類に不備があると即失格になることもあるため、細部まで丁寧に確認しましょう。
STEP4:審査・採択
書類審査を経て、採択結果が通知されます。競争率が高い補助金は加点項目(地域貢献性、SDGs対応など)のアピールがカギです。
STEP5:事業実施・報告書提出
補助金交付後は、計画通りに事業を遂行し、終了後に成果をまとめた報告書を提出します。領収書や写真などの証拠書類も求められます。
事例①:有限会社○○建設(広島県)
活用制度:ものづくり補助金
老朽化していた測量機器を最新の3Dスキャナーに更新。作業時間が約30%削減され、若手社員の業務満足度も向上。
事例②:株式会社△△工業(埼玉県)
活用制度:働き方改革推進助成金
週休二日制導入のために勤怠管理システムを導入。助成金により初期投資を抑えつつ、労働環境の改善を実現。
助成金・補助金は、中小建設業者が経営課題を乗り越えるための大きなチャンスです。複雑な制度に感じるかもしれませんが、正しい情報と準備があれば、現場の改善・成長に直結する効果が得られます。まずは、自社に必要な支援がどこにあるかを調べることから始めてみましょう。そして、必要に応じて専門家の力を借りながら、制度を上手に活用していきましょう。