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建設業のコーポレートブランディング:地域で選ばれる企業になる方法

2025年7月15日
建設会社M&A

はじめに

かつては「仕事さえあれば何とかなる」と言われていた建設業界。しかし現在は、人口減少・競争激化・情報の可視化によって、「どの企業に依頼するか」を顧客が厳しく選ぶ時代へと変わってきました。そんな中で注目されているのが、コーポレートブランディングです。価格競争に巻き込まれず、地域で“選ばれる存在”になるために、建設業が今こそ取り組むべき戦略と言えます。

コーポレートブランディングとは?

コーポレートブランディングとは、企業の価値や理念、魅力を明確に打ち出し、それを社内外に一貫して発信する活動です。ロゴやキャッチコピーを作ることだけがブランディングではなく、「この会社に頼めば安心だ」と思ってもらう信頼構築全体を指します。

建設業におけるブランディングの目的:

・地元住民や企業からの信頼獲得

・求人・採用の強化

・下請けや取引先との関係強化

・「価格」でなく「価値」で選ばれる企業になる

なぜ今、建設業にブランディングが必要なのか?

1. 価格競争からの脱却

単純な「安さ」だけで選ばれていると、利益率が圧迫され、持続可能な経営が難しくなります。ブランディングによって「この会社でないと」と思わせる価値提供が可能に。

2. 若手人材の確保

建設業のイメージ刷新は採用にも直結します。企業文化や社会貢献活動を発信することで、「この会社で働きたい」と思われるような環境を作れます。

3. 地域密着型経営の強化

地域イベントや災害時の支援活動などを通じて、地域とのつながりを強めることが、ブランドの信頼度を高めます。

地域で選ばれる建設会社になるためのブランディング戦略

1. 自社の「強み」と「理念」を明文化する

たとえば、「自然素材にこだわる家づくり」「創業50年の地元密着施工」「職人直営による高品質保証」など、他社とは違う自社ならではの価値を言語化します。

2. ロゴ・名刺・作業服などを統一

見た目の印象はブランドイメージの出発点。ロゴ・色・フォントなどを統一し、「〇〇建設といえばこの色・このマーク」と認知されるように設計します。

3. ホームページ・SNSで「想い」を伝える

事例紹介やお客様の声だけでなく、社長のメッセージや施工へのこだわり、社員紹介などを通じて、人の顔が見える会社”として発信しましょう。

4. 地域活動・社会貢献の可視化

地元の清掃活動、学生インターンの受け入れ、災害時の応急対応などを積極的に行い、その情報を定期的に発信。地域とのつながりがブランドの信用力になります。

5. 口コミ・紹介を増やす仕組み作り

既存顧客からの紹介は、何よりも強い信頼の証です。紹介者に感謝の特典を用意したり、顧客満足度アンケートを通じて改善活動を見える化しましょう。

成功事例に学ぶ:地方建設業のブランディング実践

● 事例1:A工務店(長野県)

  • 「地元木材100%の家づくり」を掲げて地域産業とも連携
  • 地元テレビや新聞で取り上げられる機会が増え、年間問い合わせ数が3倍に

● 事例2:B建設(熊本県)

  • 自社の職人をSNSで紹介し「信頼できる人がつくる安心」を演出
  • インスタ経由の若年層リフォーム依頼が増加

● 事例3:C設備(岡山県)

  • 地元小学校と共同で「配管体験教室」を実施
  • 地元メディアへの露出に成功し、採用応募者が増加

ブランディング成功のカギは「継続性」と「社内浸透」

どれほど良いコンセプトを作っても、社内で共有・実行されなければ意味がありません。社員全員がブランドの担い手であるという意識を持ち、顧客接点の一つひとつにその価値観を反映させることが重要です。定期的な勉強会、朝礼での理念共有、成功事例の社内掲示など、「現場で活きるブランドづくり」を意識しましょう。

まとめ

時代は「価格で選ばれる会社」から「価値で選ばれる会社」へとシフトしています。地域の中で生き残り、さらに成長していくためには、自社の魅力を見つけ、それを発信し続ける力=ブランディング力が不可欠です。中小建設業であっても、コーポレートブランディングは決して難しいものではありません。「誰に、どんな価値を届けたいか」を見つめ直すことから始めましょう。

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