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建設業における脱炭素化とサステナブル建築の最前線

2025年7月4日
建設会社M&A

〜はじめに〜

地球温暖化対策として世界的に求められる「脱炭素社会」。その中でも、エネルギー消費量が大きく、CO₂排出量の多い建設業は、今まさに大きな転換期を迎えています。本記事では、建設業界における脱炭素化への取り組みや、サステナブル建築(持続可能な建築)の最新動向をご紹介します。


建設業とCO₂排出の現実

建設業は、製造業や運輸業と並んで、温室効果ガス(GHG)の排出が多い産業の一つとされています。
具体的には、以下のプロセスで大量のCO₂が排出されます:

  • 建設資材(特にセメント・鉄鋼)の製造
  • 重機・輸送機器の燃料消費
  • 建設現場での電力使用
  • 解体・廃棄処理に伴うエネルギー消費

この状況を受けて、日本政府も「2050年カーボンニュートラル」を掲げ、建設業にも脱炭素化の加速を強く求めています。

サステナブル建築とは?

サステナブル建築とは、環境への負荷を抑えながら、長く快適に使える建築物を意味します。
具体的には、以下のような要素が含まれます:

  • ・省エネルギー設計(高断熱、高気密)
  • ・再生可能エネルギー(太陽光、地熱など)の活用
  • ・リサイクル建材・低炭素素材の使用
  • ・グリーンビル認証(ZEB、CASBEEなど)の取得
  • ・地域資源の活用や木造建築の推進



こうした設計・施工は、環境負荷を低減するだけでなく、ランニングコストの削減や資産価値の向上にもつながります。

実際に進む取り組み事例

① ZEB(Net Zero Energy Building)の推進

ZEBとは、建物で消費するエネルギーを、創エネや省エネで実質ゼロにする建築のこと。国や自治体も補助金制度を設け、ZEB認定取得を後押ししています。大手ゼネコンだけでなく、地域の中小建設業者もZEB施工に取り組み始めています。

② 木造・CLT建築の拡大

鉄やコンクリートに代わる環境配慮型素材として注目されるのが「木材」です。特に「CLT(直交集成板)」は、耐震性・耐火性に優れ、CO₂を吸収・固定できる脱炭素建材として、商業施設や公共建築にも採用が進んでいます。

③ 建設機械の電動化と再エネ活用

建設機械メーカー各社は、ディーゼルから電動・ハイブリッドへとシフトを進めています。また、建設現場での仮設電力を太陽光や蓄電池でまかなうケースも増加中です。

これからの建設業がとるべき方向

脱炭素化は「コスト」ではなく、「競争力強化」のための投資です。特に今後の入札や民間工事では、「環境対応力」が重要な評価軸になることも予想されます。中小建設業者も、以下のようなステップで対応を進めることが求められます。

  • ・環境対応型の資材・工法の学習と導入
  • ・ZEBやBELSなどの認証制度への理解と活用
  • ・サプライチェーン全体での脱炭素戦略の構築
  • ・国・自治体の補助金・支援制度の積極活用

まとめ:サステナブル建築は未来への責任

脱炭素化は一時的なブームではなく、建設業界にとっての「新しい標準」です。サステナブル建築は、地球環境への配慮だけでなく、企業としての信頼獲得や事業継続にもつながります。未来の社会を支えるために、今こそ建設業界が一丸となってサステナブルな変革に取り組むときです。

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