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建設業の「信用力」を高めるためのブランディング戦略

2025年7月14日
建設会社M&A

はじめに

建設業界では、元請けからの仕事の受注、金融機関からの資金調達、優秀な人材の確保など、あらゆる局面で「会社としての信用力」が問われる時代になっています。

単に「施工実績がある」「職人の腕がいい」だけではなく、

・経営の安定性

・業務体制の信頼性

・対外的なイメージ

といった目に見えにくい部分が、取引や採用における選定基準の一つになってきているのです。本記事では、建設業における信用力を高めるための「ブランディング戦略」をテーマに、具体的な実践法と成果を出すポイントを解説します。

信用力=“数字”だけでは測れない経営資産

まず前提として、「信用力」は単なる売上や財務指標では測れません。むしろ、次のようなソフト面の価値が重視されます。

視点評価される要素
取引先(元請・施主)約束を守る姿勢・情報発信・施工品質の安定性
金融機関経営の透明性・事業計画の明確さ・代表者の信用
求職者社風・働きやすさ・社会貢献性・成長性
地域社会安全性・環境配慮・地域との関係性

こうした信頼の積み重ねが「ブランディング」に直結し、目に見えない資産=無形資産として企業価値を高めます。

ブランディング戦略のステップ

Step 1|自社の強みと“らしさ”を再定義する

まずは、「どんな会社か」「どんな仕事に強いのか」を整理します。
例えば:

・地元密着で30年以上の実績がある

・木造住宅のリフォームに特化している

・若手の育成に力を入れている

・工期厳守、安全第一を徹底している

これらの強みを言語化し、外部に向けて一貫性のある発信をすることがブランディングの土台になります。

Step 2|“見える化”による信用強化

信頼は、伝えなければ生まれません。そこで重要なのが「可視化」です。

▶ 実践ポイント

・ホームページに施工事例・代表挨拶・経営理念を掲載

・会社案内パンフレットを刷新し、金融機関・求職者へ配布

・建設キャリアアップシステム(CCUS)や建退共など法令遵守の証明を明示

・安全大会・地域清掃などCSR活動の情報発信

“安心できる企業だ”と感じてもらえるコンテンツ設計がカギとなります。

Step 3|第三者評価・認証を取得する

“信用力”を客観的に証明する方法として、第三者評価の活用があります。

取得推奨の評価制度:

・建設業許可/経審(経営事項審査)

・ISO認証(品質・環境・安全)

・グリーンサイト/ワークスタイル認証

・SDGs宣言や地元自治体の認定制度

これらは、元請との取引拡大や金融機関からの融資審査において、プラス評価につながります。

Step 4|SNS・Webによる情報発信

信頼は“検索”から始まります。
今や求職者も取引先も、ネットで企業の評判や雰囲気を調べる時代。
そのための継続的な情報発信が不可欠です。

▶ SNSで発信する内容例

・完成物件のビフォーアフター

・社内行事・職場の様子

・社員インタビュー

・現場での安全対策

・地域イベントへの参加

情報が更新されていないHPや、何年も動いていないSNSは「信用されない原因」になります。更新性と誠実さがカギです。

信用力が高まると得られる“好循環”

✅ 元請・施主から「この会社なら任せたい」と選ばれる

→ 発注単価も改善しやすくなる

✅ 銀行からの融資審査が通りやすくなる

→ 設備投資や人材採用を前向きに進められる

✅ 若手人材からの応募が増える

→ 定着率・社内の活気アップ

✅ 地域や業界からの紹介・リピート案件が増加

→ 営業コストの削減、安定経営へ

まとめ:ブランディングは「信用をつくる仕組み」

建設業におけるブランディングは、オシャレなロゴや派手な広告のことではありません。それは「誠実な仕事を見える化し、外部に伝え、継続的に信頼を積み重ねる」活動です。つまり、ブランディングとは“信用を生むための仕組み”をつくること。

取引先に選ばれたい。
金融機関に評価されたい。
若手人材に入社してほしい。

――それらを実現するための最も効果的な経営戦略が、いま「信用力向上=ブランディング」なのです。

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