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建設業のファクタリング活用術:資金繰りを改善する選択肢とは?

2025年7月15日
建設会社M&A

はじめに

建設業において、安定した資金繰りは経営の生命線です。材料費の先払い、人件費の先出し、請負代金の入金遅れ――これらの要因が重なると、資金がショートしてしまうリスクは決して珍しくありません。そこで注目されているのが「ファクタリング」という資金調達の手段。この記事では、建設業が抱える資金繰りの課題を踏まえながら、ファクタリングの仕組みや活用術、注意点まで詳しく解説します。

建設業の資金繰りが厳しくなりやすい理由

建設業は、ほかの業種と比較してキャッシュフロー(資金の出入り)に時間差が生じやすい構造になっています。

主な理由:

・請負契約が長期化しやすい(入金まで数ヶ月)

・完成後にしか請求できない工事が多い

・出来高払いで資金が分割される

・材料費・人件費は前払いが基本

・下請けや外注への支払いが先行する



こうした背景から、「黒字倒産」に陥るリスクも少なくありません。

ファクタリングとは?

ファクタリングとは、未回収の売掛金(請求書)をファクタリング会社に買い取ってもらい、早期に現金化するサービスです。借入とは異なり、資産(売掛金)を現金化する手法のため、財務上の負担が比較的軽く済むのが特徴です。

仕組み(2社間ファクタリングの例):

①建設会社が元請け企業に対して請求書を発行

②ファクタリング会社が請求書の内容を審査

③審査通過後、請求額の70〜90%を即日〜数日で入金

④入金された元請けからの支払いは、ファクタリング会社が回収

    ファクタリングの主な種類

    種類特徴向いているケース
    2社間ファクタリング取引先に通知せずに利用可能元請けに知られず資金化したい
    3社間ファクタリング元請けにも通知・承諾が必要信頼関係があり、手数料を抑えたい
    医療・建設専門ファクタリング業種特化で審査が柔軟業界特有の請求スキームに対応してほしい

    建設業がファクタリングを活用するメリット

    1. 資金繰りの安定化

    入金サイクルのズレを補い、下請けや従業員への支払いをスムーズに。

    2. 借入ではないため、信用情報に影響しにくい

    借金ではないため、金融機関との取引に悪影響を与えにくい。

    3. 急な資金需要にも即応できる

    審査から入金までが早く、緊急時の資金確保に有効。

    4. 支払い遅延リスクのヘッジにもなる(3社間の場合)

    万が一、元請けが倒産した際でも、一定の保証が付くケースもある。

    利用時の注意点とリスク

    ● 手数料が高め(2社間で10~20%前後)

    あくまで「緊急の資金調達手段」として位置づけ、常用しないようにするのが理想。

    ● 悪質な業者に注意

    業者によっては、手数料の不透明さや法外な契約条件を提示してくる場合もあります。信頼性のある業者を選ぶことが必須です。

    ● 元請けの信用力に依存

    ファクタリング会社は元請け企業の支払い能力を重視するため、元請けの与信状況が悪いと利用できない場合も。

    ファクタリングを有効活用するためのポイント

    複数社から見積もりを取る(相見積もり)
     → 手数料や条件の比較で大きな差が出ます。

    建設業に特化したファクタリング会社を選ぶ
     → 出来高払い・請負契約書など、業界特有の事情に対応できるかが重要。

    経理・資金繰りの見える化を図る
     → ファクタリングに頼りすぎない経営体制を構築しましょう。

    金融機関との併用も検討する
     → 長期資金は銀行融資、短期資金はファクタリングと使い分けるのが理想的です。

      まとめ

      資金繰りに課題を抱える建設業にとって、ファクタリングは一時的な資金圧迫を和らげるための有効な手段です。「借入ではない」という特徴を活かしながら、他の資金調達方法と組み合わせることで、健全なキャッシュフローを維持することができます。ただし、ファクタリングは万能ではありません。手数料や契約内容をしっかり把握したうえで、戦略的に活用することが経営の安定化と成長への第一歩となります。

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