公共工事は地方自治体や国の予算で行われるため、受注すると安定的な売上が見込める大きなチャンスです。しかし同時に、入札参加から契約締結、施工管理まで多くの申請や手続きが必要で、初めて挑戦する会社にとっては複雑でハードルが高く感じられます。本記事では、公共工事を受注したい建設会社が押さえておきたい申請・手続きの基本的な流れとポイントをわかりやすく解説します。
① 建設業許可の取得
公共工事の入札参加には、まず国や都道府県が発行する建設業許可が必須です。
許可の種類(一般・特定)や業種が受注予定の工事内容に合っているかを確認しましょう。
② 経営事項審査(経審)の受審
経審は、建設会社の経営状況や技術力を点数化し、公共工事の入札における参加資格や評価基準になります。財務内容、施工実績、技術職員の状況などを総合評価されるため、事前に書類を整備し、申請することが必要です。
③ 入札参加資格申請
地方自治体や発注機関ごとに異なる「入札参加資格申請」があります。一般的には次の要件が求められます。
・経審の評価点数が一定以上であること
・指定の登録機関への登録
・過去の工事実績や社会保険の加入状況の証明
① 公告・要項の確認
公共工事は入札公告としてインターネットや官報で公示されます。入札要項には、工事内容、資格要件、入札方法(一般競争入札、指名競争入札など)、提出期限などが詳細に記載されているため、正確に読み込みましょう。
② 入札書類の準備と提出
入札参加のために必要な書類は多岐にわたります。
・入札参加申請書
・見積書(積算書)
・建設業許可証の写し
・経審結果通知書
・社会保険加入証明書 など
期限内に正確に提出することが絶対条件です。
① 契約内容の確認
契約書には工期、契約金額、品質管理、安全管理の責任範囲、違約金条項などが記載されているため、必ず細部まで確認します。疑問点は契約前に発注者に質問し、書面での確認を取ることが重要です。
② 施工計画書・工程表の提出
公共工事では施工計画や安全対策を明示した工程表を作成し、発注者の承認を得る必要があります。これらの書類は工事の進捗管理や品質保証に不可欠です。
③ 中間検査・完成検査への対応
工事期間中は中間検査が行われ、工程や品質が適正かどうかをチェックされます。完成後も竣工検査があり、これらの検査に問題があると引き渡しが遅れることになるため、日頃からの記録管理と報告が重要です。
・法令遵守の徹底:建設業法や労働安全衛生法など関連法規を守ること
・発注者とのコミュニケーション:疑問点や変更点は速やかに共有
・書類の整理と管理:契約書・検査報告書・写真などの保存
・工程・原価管理の厳格化:予定通りに工事を進めるための管理体制
公共工事の受注は、安定した経営基盤づくりに非常に有効ですが、入札参加資格の取得から契約管理まで、煩雑な手続きや管理業務を確実にこなす必要があります。これらの基本をしっかり押さえ、準備を怠らず取り組むことで、公共工事市場での信頼と実績を積み重ね、事業拡大につなげましょう。