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建設業のリフォーム市場:成功するビジネスモデルとは?

2025年5月12日
建設会社M&A

はじめに

 リフォーム業界は、少子高齢化・住宅の老朽化・環境意識の高まりといった社会的背景を受けて、今後さらなる成長が見込まれる分野です。特に空き家対策や省エネルギー化への関心が高まるなか、住宅の再活用や性能向上を目的としたリフォームのニーズが増加しています。

 本記事では、建設業の中でも注目されるリフォーム市場の現状と今後の展望、具体的な工事の種類と費用、集客戦略や成功するビジネスモデルについて詳しく解説します。

市場規模の推移と将来予測

近年のリフォーム市場は堅調に拡大しており、今後も高い需要が続くと見込まれています。


市場規模データと成長率

年度市場規模(概算)前年比の変化備考
2021年約5.9兆円実績値
2022年約6.2兆円約5%増実績値
2023年6.8~7.5兆円(予測)約10~20%増(対2022年比)予測
2030年頃約7.7兆円(予測)今後も緩やかに成長見込み長期予測



【※金額は2025年1月時点の公表データや民間調査をもとにした概算であり、最新情報は随時ご確認ください。】

成長要因と今後の展望

 今後、日本では築30年以上の住宅が全体の約4割を占めると予測されています。
これに伴い、住宅の老朽化やライフスタイルの変化を背景に、リフォーム・リノベーションの需要がますます高まっています。

🏡 リフォーム需要増加の主な背景

築30年以上の住宅が急増
住宅の老朽化により、修繕・改修の必要性が高まる


在宅ワークの普及による住環境の見直し
快適な仕事空間やワークスペース確保のための改修ニーズが増加


断熱・省エネ・ZEH*(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)化への関心の高まり
光熱費削減や環境配慮の視点から、住宅性能の向上を目的とした改修が増加 


空き家問題への対策として、中古住宅の再生・活用が進展
空き家再利用によるリノベーションニーズの増加


※ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)とは、断熱・省エネ設備・太陽光発電などを組み合わせ、住宅の年間エネルギー消費を実質ゼロにすることを目指した住宅仕様です。リフォームにおいてもZEH基準への対応が進んでおり、光熱費の削減や補助金の対象となる場合があります。

※制度内容や補助金の有無は変更される可能性があるため、最新情報は公式機関のサイトをご確認ください。


業界が直面する課題

 現在、建設業界では慢性的な人材不足やコストの上昇、業界内の競争激化といった複数の課題が同時に進行しています。
 これらは、企業経営や現場運営に直接的な影響を及ぼしており、業界全体の持続的な成長を妨げる要因となっています。


⚠️ 建設業界の主な課題
職人・技術者の人材不足が慢性化
高齢化により熟練技術者の引退が進む一方、若手の入職が少なく、人材の確保が困難に


・資材費の上昇による原価圧迫
建材や輸送費の高騰により、利益確保が難しくなり、見積精度やコスト管理がより重要に


・異業種からの参入による競争激化
IT・不動産・スタートアップなど他業種からの参入が増え、価格・サービス面での差別化が求められる

リフォーム工事の種類と費用目安

リフォーム工事の分類


主な工事カテゴリ

工事区分主な内容
内装工事壁紙の張替え、フローリング・クッションフロアの交換など
外装工事外壁塗装、屋根の補修・防水工事など
設備工事キッチン、浴室、トイレ、洗面台などの交換・リニューアル
構造・耐震補強耐震補強工事、基礎補強、構造部材の補修など
省エネルギー工事断熱材の施工、複層ガラス・断熱サッシへの交換、節水設備導入
バリアフリー化手すりの設置、段差解消、スロープ設置、引き戸への交換など
リノベーション間取りの変更、スケルトン改修、全面改装など
外構工事駐車場整備、フェンス設置、門扉・アプローチ改修など



工事項目ごとの詳細


代表的な施工例と費用

工事内容費用の目安(税込)
壁紙張替え5万~20万円
外壁塗装50万~150万円
キッチン交換50万~200万円
耐震補強50万~300万円
断熱リフォーム30万~150万円
フルリノベーション500万~2,000万円



※上記金額は2025年1月時点の一般的な参考価格です。建物規模・立地・仕様によって大きく変動するため、実際の見積もりは専門業者へご確認ください。

リフォーム業界の集客戦略

Webマーケティング


主要なオンライン施策

施策名主な特徴・効果
SEO対策・Googleなどの検索エンジンで上位表示を目指す施策
・中長期的な集客力を高める
MEO対策・Googleマップ等での自社表示を最適化
・「地域名+業種」検索での露出を強化
リスティング広告・検索キーワードに連動して表示される広告
・即効性が高く、予算に応じて配信コントロールが可能
SNS活用・InstagramやLINEなどでの情報発信・ファンづくり
・写真・動画で視覚的に訴求できる
マッチングサイト活用・リフォーム業界や建設業向けプラットフォームに登録
・見込み客と効率的につながることが可能



オフライン集客


地域密着型の手法

施策名特徴主な効果
チラシ配布・ポスティング・地域密着型の販促方法
・ターゲットエリアを絞って配布可能
・周辺住民への認知向上
・問い合わせや見積もり依頼の促進
地元イベント・展示会への参加・来場者と直接対話が可能
・会社や実績をリアルに伝えられる
・信頼感の醸成
・見込み客との関係構築
訪問営業・見学会の実施・完成現場を実際に見せて魅力を伝えられる
・担当者との信頼関係が築きやすい
・受注率の向上
・顧客の不安解消



紹介営業とリピーター戦略

顧客との関係構築

施策名特徴主な効果
紹介キャンペーンによる紹介促進・既存顧客に紹介特典を提供
・信頼性の高い「口コミ」経由の集客を強化
・成約率の高い見込み客の獲得
・顧客満足度の向上
アフターフォローの強化と信頼構築・施工後の定期点検・相談対応など
・顧客との長期的な関係を重視
・リピートや紹介の増加
・企業イメージ・信頼性向上
不動産業者・地域工務店との連携提携・互いの顧客を紹介し合う関係を構築
・地場のネットワークを活用した販路拡大
・新規顧客の安定的な獲得
・地域での存在感・実績強化



成功する集客モデル

集客チャネルのバランス

分類主な施策特徴主な効果
短期的成果・リスティング広告
・マッチングサイト
・即効性が高く、配信や掲載後すぐに反応が出やすい
・コストに応じた集客コントロールが可能
・短期間での問い合わせ・成約数の増加
長期的成果・SEO対策
・SNS活用
・口コミ・紹介
・継続的な運用が必要だが、費用対効果が高く安定的
・信頼性やブランド力を高める
・見込み客との関係構築
・中長期的な成約増加
地域密着型・Web+オフラインの併用(例:SNS×チラシ)・地元住民に向けた双方向の接点形成
・オンラインとリアルの相乗効果を狙える
・認知度向上+来店/問い合わせ促進
・地域内の信頼獲得




成功するリフォームビジネスモデル

人材不足への対応


採用と育成戦略

施策内容特徴主な効果
未経験者や若年層の積極採用・人物重視でポテンシャルを評価・若手層に門戸を広げる採用方針・人材確保の裾野拡大・将来的な担い手の育成につながる
資格取得支援・キャリアパス制度の整備・資格取得費用の補助・昇進や報酬に連動する成長ステップの明示・成長意欲の向上・中長期的な定着・戦力化を促進
柔軟な労働環境・職場改善による定着率向上・残業削減、休暇取得促進、コミュニケーション活性化などの職場改革・働きやすさの向上・離職率低下、職場への満足度向上




※助成金や資格制度については変更される場合がありますので、関係機関の最新情報をご確認ください。


競争優位性を持つ事業戦略


差別化と特化モデル

施策内容特徴主な効果
水回り・バリアフリーなどに特化した専門性・分野を絞った専門知識・技術の提供
・高齢者や介護家庭のニーズに対応
・顧客の信頼獲得
・特定市場でのブランド確立
月額料金制のサブスクリプション型メンテナンスサービス・定額制で継続的な設備点検・修繕を提供
・契約継続による収益の安定化
・顧客の安心感向上
・長期顧客化とストック型収益の確保
ペット対応住宅やリノベーション付き物件の提案型営業・ライフスタイルに応じた付加価値提案
・物件購入とリフォームの一体化
・他社との差別化
・クロスセルによる単価アップ




テクノロジー活用


DXによる業務改善

施策内容特徴主な効果
IoT住宅や省エネ機器の導入提案・スマート家電・センサーなどを活用・省エネ・快適性向上に寄与・高付加価値提案による顧客満足向上・補助金活用による販促強化
見積作成の自動化(AI活用)・材料・作業量を元に自動で精度の高い見積を作成・人的作業の軽減・業務時間の短縮・見積ミスの削減で信頼性向上
現場管理アプリ・進捗共有ツールによる効率化・写真・進捗・勤怠などをクラウド共有・リアルタイムで関係者と情報連携・現場の見える化・管理工数の削減とトラブル防止




資材費高騰への対策


調達と施工の工夫

施策内容特徴主な効果
価格転嫁の透明化と顧客説明の徹底・資材費の上昇を丁寧に説明・価格改定の根拠を明確化・顧客の納得感向上・トラブル防止・信頼関係の維持
材料の共同購入や代替素材の検討・同業者と連携して大量仕入れ・性能とコストを両立する代替材を選定・仕入コスト削減・価格安定化による利益確保
工程の標準化・マニュアル化による施工効率の向上・作業手順を統一し、誰でも同じ品質に・無駄を減らして時間短縮・人件費削減・施工ミス防止と品質安定



まとめ

 リフォーム市場は今後も安定した需要が見込まれる一方で、人材不足・資材高騰・競争激化といった課題にも直面しています。成功するためには、ニッチ特化やサブスクリプション型のサービス、デジタルツールの活用など、独自性と効率性を両立するビジネスモデルが不可欠です。

 地域密着型の強みを活かしつつ、顧客の多様なニーズに対応できる柔軟な提案力を備えることで、持続可能で安定した成長を実現することができるでしょう。